今回はこのような界面活性剤の疑問に答えていきます。
界面活性剤は、油汚れを落とす成分で、シャンプーには必要不可欠な成分。なので、必ずシャンプーには界面活性剤は配合されています。
「界面活性剤は悪」このような認識を持っている人もいますが、これは正しいとは言えません。
確かに刺激の強い界面活性剤もありますが、正しく界面活性剤を知れば髪や頭皮・肌に優しいシャンプーを選ぶことができますよ。
さっそくシャンプーに配合されている界面活性剤について解説していきます。
界面活性剤(洗浄成分)とは?
界面活性剤とは「水と油を混ぜ合わせる」成分です。
通常の物質は、水に馴染みやすい「親水基」か、油に馴染みやすい「親油基」どちらかの性質を持っています。界面活性剤とは、親水基と親油基の両方を持ち合わせた物質の総称。
本来混じりあうことのない「水」と「油」を結び付けて油汚れを落とすことができます。
なので、界面活性剤は洗浄成分として使われています。
界面活性剤が汚れを落とす仕組み
本来混じりあうことのない「水」と「油」ですが、界面活性剤の持つ水に馴染みやすい親水基は水とくっつき、油に馴染みやすい親油基が油とくっつくことで、水と油を結びつけることができます。
皿を洗うときをイメージするとわかりやすいです。油汚れを水だけで洗っても油ではじかれて汚れが落ちません。食器用洗剤(界面活性剤)を使用することで、油汚れと水を馴染ませて汚れを落とすことができます。
界面活性剤不使用のシャンプーはある?
界面活性剤は、汚れを落とす成分のためシャンプーでは必ず使われています。
シャンプーの成分構成は、
- 水:60~70%
- 界面活性剤:20~30%
- その他:10%
このようになっており、シャンプーにとって界面活性剤は欠かせない成分なんです。
界面活性剤は、シャンプーの使用感や仕上がりを決める成分でもあります。
なので、界面活性剤にこだわってシャンプー選びをすることが大切です。
界面活性剤の種類と特徴を解説
界面活性剤は、水に溶けたときの性質から下記の4種類に分類されます。
- アニオン(陰イオン)界面活性剤
- カチオン(陽イオン)界面活性剤
- 両性界面活性剤
- ノ二オン(非イオン)界面活性剤
それぞれの特徴を解説していきます。
アニオン(陰イオン)界面活性剤
アニオン界面活性剤は、水に溶けるとマイナスの電気を帯びることから、「陰イオン性界面活性剤」とも呼ばれます。
特徴は、洗浄作用に優れており泡立ちが良いこと。乳化・分散性にも優れています。
そのため、シャンプーやボディーソープ、食器用洗剤など油汚れを落とす役割のものに使われています。
カチオン(陽イオン)界面活性剤
カチオン界面活性剤は、水に溶けるとプラスのイオンを帯びることから「陰イオン性界面活性剤」とも呼ばれます。
特徴は、帯電防止(静電気を防ぐ)効果や殺菌性、柔軟作用に優れています。
そのため、トリートメントや柔軟剤に使われています。
シャンプーにも配合されていることがありますが、カチオン界面活性剤は頭皮への刺激はかなり強いので、カチオン界面活性剤が配合されたシャンプーはおすすめしません。
両性界面活性剤
両性界面活性剤は、水に溶けるとプラスとマイナスのイオン両方を帯びます。
特徴は、低刺激で水に溶けやすいこと。また、ほかの界面活性剤と併用しても相性が良いです。
アニオン界面活性剤と一緒に配合されていることが多く、泡立ちや低刺激性を向上してくれます。
シャンプーや、ベビーシャンプー、ボディーソープなどに使われています。
ノ二オン(非イオン)界面活性剤
ノ二オン界面活性剤は、水に溶けてもイオンを帯びません。そのため「非イオン界面活性」とも呼ばれます。
特徴は、乳化・可溶化力に優れていること、親水性と疎水性のバランスを調整できることです。
ノ二オン界面活性剤は、単品で使われるというよりは、ほかの界面活性剤と併用することで、洗浄力や粘性を高めるなどの役割をします。
シャンプーに使われる界面活性剤の種類と特徴
界面活性剤の種類が4つに分けることができました。その中で、シャンプーに主に配合されているのは「アニオン界面活性剤」です。
アニオン界面活性剤も使われる主成分によって大きく分けて3種類に分類されます。
- 石油系
- 石鹸系
- アミノ酸系
それに加えて、両性界面活性剤(ベタイン系)もシャンプーにはよく配合されています。
アニオン界面活性剤 | 両性界面活性剤 | |||
石油系 | 石鹸系 | アミノ酸系 | ベタイン系 | |
洗浄力 | 強い | 強い | やや弱い | 弱い |
刺激 | 強い | 強い | 弱い | 弱い |
メリット | ・泡立つがよい ・安価 |
・環境に優しい | ・低刺激 ・弱酸性 |
・低刺激 |
デメリット | ・髪や頭皮の乾燥 ・きしみやパサつき |
・髪や頭皮の乾燥 ・カラーの退色 ・パーマが落ちる |
・泡立ちが弱い ・高価 |
・泡立ちが弱い |
石油系・石鹸系・アミノ酸系・ベタイン系のそれぞれの特徴を解説していきます。
石油系(アニオン界面活性剤)
石油系洗浄成分は、アニオン界面活性剤の中でも安価で市販のシャンプーに使われています。
泡立つがよく洗浄力が高いのがメリットですが、逆にその洗浄力の高さ故に頭皮や髪が乾燥しやすいのがデメリットです。
髪のパサつきやきしみを感じやすく、カラーの退色も早くなってしまいます。
【代表的な石油系洗浄成分】
- ラウリル硫酸Na
- ラウレス硫酸Na
- オレフィン(C14-16)スルホン酸Na
- スルホコハク酸(C12-14)パレス-2Na
石鹸系(アニオン界面活性剤)
石鹸系洗浄成分は、使われているシャンプーの数は少ないですが、頭皮用や自然派シャンプーなどでたまに使われています。
「石鹸」と聞くと肌に優しそうなイメージをしてしまいますがそんなことはありません。石鹸系洗浄成分も石油系と同じく洗浄力が高く、髪や頭皮を乾燥させてしまいます。
また、アルカリ性の性質を持っており、石油系洗浄成分よりもきしみを感じやすく、突っ張ったような仕上がりに。ヘアカラーやパーマの落ちも早くなってしまいます。
メリットは、生分解性が高く、地球環境に優しいことくらいです。
【代表的な石鹸系洗浄成分】
- 石けん素地
- 脂肪酸ナトリウム
- 脂肪酸カリウム
アミノ酸系(アニオン界面活性剤)
アミノ酸洗浄成分は、原価が高く使用感に優れてるためサロンシャンプーや1500円~くらいのシャンプーに使われています。
メリットは、マイルドな洗浄力で頭皮に必要な油分を残しながら汚れを落とせること。また、弱酸性で髪や頭皮に優しいです。
洗浄力が優しいので髪や頭皮を傷めることもなく、カラーなどの持ちも良くなります。
デメリットは、泡立ちが弱いことです。
【アミノ酸系洗浄成分】
- ココイル○○(ココイルグルタミン酸TEAなど)
- ラウロイル○○(ラウロイルメチルアラニンNa)など
ベタイン系(両性界面活性剤)
両性界面活性剤であるベタイン系洗浄成分は、主成分というよりは、ほかのアニオン界面活性剤のサブ的な役割で配合されていることが多いです。
特徴としては、安全性が高く低刺激で髪や頭皮を傷めにくいです。
そのため、低刺激さをプラスするために配合されています。
優しい素材なので、肌の弱い人や敏感肌の人にもおすすめです。
【ベタイン系洗浄成分】
- ○○ベタイン(コカミドプロピルベタインなど)
- ココアンホ○○(ココアンホ酢酸Naなど)
シャンプーに含まれる界面活性剤は悪い?
「界面活性剤は危険」「界面活性剤は肌に悪い」という声も耳にしますが、界面活性剤自体は悪い成分ではないですし、汚れを落とすには必要不可欠な成分です。
上記のように界面活性剤が悪い成分という印象を与えている原因は石油系洗浄成分にあります。
※石油系=高級アルコール系=硫酸系
石油系洗浄成分の中でも、「ラウリル硫酸Na」と「ラウレス硫酸Na」は高い洗浄力・脱脂力を持っています。どちらも製造コストが安く、多くのシャンプーで界面活性剤として使われています。
刺激が強く、肌が弱いと肌トラブルに
ラウレス硫酸Naとラウリル硫酸Naは刺激が強く、アレルギー反応を起こす可能性のある「旧指定表示成分」でした。
表示指定成分は「使う人の体質によってまれにアレルギー等の肌トラブルを起こす恐れのある成分」です。
刺激が強い分、頭皮や毛髪のトラブルが引き起こしやすいです。
高い洗浄力で皮脂を取りすぎてしまう
また、洗浄力・脱脂力が高く頭皮の皮脂を取りすぎてしまいます。
皮脂には、頭皮を外部の刺激から守る役割だったり、乾燥を防ぐ役割があります。
必要以上に皮脂が失われることで、頭皮が乾燥したり、失った分過剰に分泌してしまうんです。
頭皮の乾燥は、フケやかゆみ・抜け毛などの皮脂トラブルを引き起こします。
界面活性剤による肌トラブルを防ぐ方法
ラウリル硫酸Naやラウレス硫酸Naなど石油系洗浄成分の刺激の強さから、「界面活性剤=悪」のようなイメージを持たれがちです。
合成や天然にかかわらず「100%安全なモノ」は存在しませんが、界面活性剤も正しく選べば低刺激で髪や頭皮に優しいモノを使うことができます。
大事なのは、自分に合う界面活性剤(洗浄成分)を選んで正しく使うことです。
低刺激で髪や頭皮に優しいアミノ酸系・ベタイン系のシャンプーを使おう
アミノ酸洗浄成分や、ベタイン系洗浄成分を使用した「アミノ酸シャンプー」は低刺激で髪にも頭皮にも優しいです。
石油系シャンプーのように皮脂を取りすぎてしまうということもないので、頭皮の乾燥や髪のパサつきも防ぐことができます。
特に肌の弱い人や、敏感肌の人、頭皮が乾燥している人はアミノ酸シャンプーを使いましょう。
正しくシャンプーすることも大事!
界面活性剤やシャンプーによる肌トラブルを防ぐには、自分に合ったシャンプーを使うことも大事ですが正しい方法でシャンプーすることも大事です。
洗い残しがあれば、いくら良いシャンプーを使っていても頭皮トラブルや肌トラブルに繋がります。
特にすすぎは時間をかけて、泡が残らないように気を付けましょう!